
お城を歩いていると、普請という言葉を見かけることがあります。
「天下普請」
「城の普請」
このように使われる言葉ですが、初めて見ると少し難しく感じるかもしれません。
ざっくり言うと、普請とは、お城づくりにおける土木工事のことです。
たとえば、
- 堀を掘る
- 土塁を築く
- 曲輪を平らに整える
- 石垣を築く
- 山を削る
- 斜面を整える
- 入口まわりの地形を加工する
こうした、土地や地形を大きく変えて、城の土台をつくる作業が普請です。
お城というと、天守や門、櫓のような建物を思い浮かべるかもしれません。
しかし、お城は建物だけでできているわけではありません。
堀や土塁、曲輪、石垣のような地形や土木の工夫があってこそ、城は守りの拠点として機能します。
この記事では、普請とは何か、縄張や作事と何が違うのか、城跡を歩くときにどこを見れば普請の跡を感じられるのかを、初心者向けにわかりやすく解説します。
お城そのものの基本を知りたい方は、先にこちらの記事もおすすめです。
お城とは?天守だけじゃない城の役割・構造・見どころを初心者向けに解説
- 普請とは?まずは簡単にいうと
- 普請は「縄張を形にする工事」
- 普請と作事の違い
- 普請でつくられる主なもの
- 堀・土塁・曲輪・石垣は普請を見る手がかり
- 山城・平山城・平城で普請の見え方は変わる
- 城跡で普請の跡を見るときのポイント
- まとめ:普請がわかると、城の土台が見えてくる
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普請とは?まずは簡単にいうと
普請とは、お城づくりにおける土木工事のことです。
堀を掘る、土塁を築く、曲輪を造成する、石垣を築くなどの作業が普請にあたります。
城の建物ではなく、地形や土台をつくる工事だと考えるとわかりやすいです。
普請とは、簡単にいうと、お城づくりの土木工事です。
現代の感覚でいえば、建物を建てる前に行う、
- 土地を整える
- 地面を削る
- 土を盛る
- 石を積む
- 水の流れを整える
- 道をつくる
といった工事に近いイメージです。
お城の場合、普請によって、城の守りに必要な構造がつくられます。
たとえば、敵の侵入を防ぐために堀を掘る。
土を盛って土塁を築く。
山や丘を削って曲輪をつくる。
石を積んで石垣を築く。
こうした作業によって、城はただの土地ではなく、守るための場所へと変わっていきます。
つまり普請とは、城の防御力を地形や構造として形にする工事です。

普請は「縄張を形にする工事」
普請は、縄張で考えた設計を実際の地形として形にする工事です。
縄張で「どこに堀や曲輪を置くか」を考え、普請で土地を削ったり土を盛ったりして形にします。
縄張と普請をセットで考えると、城づくりの流れが理解しやすくなります。
普請を理解するうえで大切なのが、縄張との関係です。
縄張とは、城全体をどう配置し、どう守るかを考えた設計のことです。
どこに曲輪を置くのか。
どこに堀を掘るのか。
どこを入口にするのか。
敵をどこで止めるのか。
そうした城全体の配置や守り方を考えるのが縄張です。
一方、普請は、その縄張で考えた設計を、実際の地形や構造として形にしていく工事です。
たとえば、
| 縄張で考えること | 普請で行うこと |
|---|---|
| ここに堀を置こう | 実際に地面を掘って堀をつくる |
| ここを曲輪にしよう | 山や土地を削って平らな空間をつくる |
| ここを守る壁にしよう | 土を盛って土塁を築く |
| ここに高い防御線をつくろう | 石を積んで石垣を築く |
| 入口を曲げて守ろう | 道や虎口まわりの地形を整える |
つまり、縄張が設計の考え方だとすれば、普請はその設計を土地に刻み込む作業です。
縄張について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

普請と作事の違い
普請は土木工事、作事は建物工事です。
堀・土塁・曲輪・石垣などをつくるのが普請、天守・門・櫓・御殿などを建てるのが作事です。
この違いを知ると、お城の構造を整理して見やすくなります。
普請とよく一緒に出てくる言葉に、作事があります。
作事とは、建物をつくる工事のことです。
普請と作事の違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 言葉 | 簡単にいうと | 具体例 |
|---|---|---|
| 縄張 | 城の設計・配置 | 曲輪や堀、虎口をどこに置くか考える |
| 普請 | 土木工事 | 堀・土塁・曲輪・石垣をつくる |
| 作事 | 建物工事 | 天守・門・櫓・御殿を建てる |
もう少し流れで見ると、こうなります。
| 城づくりの流れ | 内容 |
|---|---|
| 縄張 | どう守るかを考える |
| 普請 | 土地や地形を整えて、城の土台をつくる |
| 作事 | 門・櫓・御殿などの建物を建てる |
たとえば、城の入口を守る場合を考えてみます。
まず、縄張で「ここに入口を置き、道を曲げて敵を入れにくくしよう」と考えます。
次に、普請で地面を削ったり、土を盛ったり、堀や石垣を整えたりします。
そして作事で、門や櫓などの建物を建てます。
このように、普請と作事はどちらも城づくりに欠かせませんが、役割が違います。
普請は地形や土台をつくる工事。
作事は建物をつくる工事。
この違いを知っておくと、城跡を歩いたときに、「ここは普請の工夫だな」「ここは作事に関係する場所だな」と整理しやすくなります。
作事についてはこちらの記事で解説しています。
作事とは?お城づくりの建築工事をわかりやすく解説

普請でつくられる主なもの
普請では、堀・土塁・曲輪・石垣・切岸などがつくられます。
これらは、城を守るための土台や地形の工夫です。
建物が残っていない城跡でも、普請の跡を見ると城の守り方が見えてきます。
普請でつくられるものには、さまざまなものがあります。
代表的なものを整理すると、次のようになります。
| 普請でつくられるもの | 内容 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 堀 | 敵の侵入を防ぐための溝 | 深さ・幅・位置 |
| 土塁 | 土を盛ってつくる防御の壁 | 高さ・長さ・堀との組み合わせ |
| 曲輪 | 城の中で区切られた平らな空間 | 平らさ・配置・段差 |
| 石垣 | 石を積んでつくる防御の壁 | 高さ・積み方・角の形 |
| 切岸 | 斜面を削って急にしたもの | 登りにくさ・角度 |
| 道・虎口まわり | 敵を進みにくくする入口周辺 | 曲がり方・狭さ・段差 |
堀を掘る
堀は、敵の侵入を防ぐための溝です。
水をたたえた水堀もあれば、水のない空堀もあります。
山城では、尾根を断ち切る堀切や、斜面に沿って掘られた竪堀も重要です。
堀を見るときは、
- どれくらい深いか
- どれくらい幅があるか
- どの方向からの敵を止めようとしているか
- 土塁や曲輪とどう組み合わされているか
に注目すると、普請の工夫が見えてきます。
お城の普請では、堀を掘って敵の移動を妨げるとともに、掘り出した土を土塁に利用することもありました。
堀の種類や役割については、こちらの記事で詳しく整理しています。
堀とは?水堀・空堀の違いとお城での見どころをわかりやすく解説
土塁を築く
土塁は、土を盛ってつくった防御の壁です。
堀を掘ったときに出た土を使って、土塁を築くこともあります。
堀と土塁がセットになると、敵にとってはかなり越えにくい防御線になります。
土塁を見るときは、
- どの方向を守っているか
- 堀とセットになっているか
- 曲輪の周囲を囲んでいるか
- 高さや幅がどれくらいあるか
に注目するとわかりやすいです。
お城の普請では、堀を掘るだけでなく、土を盛って土塁を築く工事も行われました。
土塁の役割や、堀・石垣との違いについては、こちらの記事で整理しています。
土塁とは?お城を守る土の壁の役割と見どころをわかりやすく解説
曲輪を造成する
曲輪は、城の中で区切られた平らな空間です。
山城では、山の斜面や尾根を削って、平らな場所をつくることがあります。
これも普請の大切な作業です。
曲輪は、兵が集まったり、建物を置いたり、守りの拠点になったりする場所でした。
曲輪を見るときは、
- なぜここが平らになっているのか
- どの曲輪が中心なのか
- 曲輪同士がどうつながっているのか
- 段差や斜面でどう守っているのか
を考えると、城の構造が見えてきます。
石垣を築く
石垣は、石を積んでつくる防御の壁です。
石垣というと近世城郭のイメージが強いかもしれませんが、石垣も普請の重要な要素です。
石垣には、
- 高い場所を支える
- 敵が登りにくくする
- 城の格式や威圧感を示す
- 曲輪や通路を形づくる
といった役割があります。
石垣を見るときは、
- 高さ
- 角のつくり
- 石の大きさ
- 積み方
- 曲輪や門との関係
に注目すると、普請の工夫が感じられます。
石垣は、表面に見える石だけでできているわけではありません。
築石の背後に栗石や盛土を入れ、曲輪や建物を支えながら、水を逃がすことまで考えて築かれています。
また、野面積み・打込接ぎ・切込接ぎは石材の加工度、乱積み・布積みは石の並べ方、算木積みは角部の組み方を表す言葉です。
石垣の役割や内部構造、積み方の分類については、次の記事で詳しく解説しています。
石垣とは?お城を守る役割・種類・積み方・見どころをわかりやすく解説
切岸をつくる
切岸は、山や丘の斜面を削って、急な崖のようにしたものです。
自然の斜面をそのまま使うだけでなく、人工的に削って急にすることで、敵が登りにくくなります。
山城では、切岸を見ると、地形をどう加工して守りを強めたのかがわかりやすくなります。
道や虎口まわりを整える
城の入口である虎口まわりも、普請の工夫がよく現れる場所です。
敵をまっすぐ入れないように道を曲げたり、狭い場所を通らせたり、堀や土塁と組み合わせたりします。
虎口そのものに門を建てるのは作事に関係しますが、入口まわりの地形や道を整えるのは普請の要素です。

堀・土塁・曲輪・石垣は普請を見る手がかり
堀・土塁・曲輪・石垣は、普請の跡を読み解く手がかりです。
建物が残っていなくても、地形や土木の工夫は城跡に残っていることがあります。
普請を見ると、その城がどのように守られていたのかが見えてきます。
普請の面白さは、城跡に行くと実感しやすいです。
天守や櫓のような建物が残っていなくても、堀や土塁、曲輪、石垣が残っている城はたくさんあります。
むしろ、山城や中世城郭では、建物よりも地形の加工が見どころになることも多いです。
たとえば、
- 深い堀が残っている
- 土塁が曲輪を囲んでいる
- 山の斜面が急に削られている
- 尾根が堀切で断ち切られている
- 曲輪が段々に並んでいる
- 石垣が高く積まれている
こうした場所を見ると、そこに普請の跡を感じることができます。
普請は、目立つ建物のようにわかりやすいものばかりではありません。
しかし、「ここは人の手で削ったのかな」「この土は盛ったものかな」「この堀で敵を止めたのかな」と考えながら歩くと、城跡の見え方が変わってきます。
山城・平山城・平城で普請の見え方は変わる
普請の見え方は、城の種類によって変わります。
山城では地形の加工、平山城では高低差と石垣、平城では堀や城下町との区画に注目するとわかりやすいです。
同じ普請でも、城の立地によって見るポイントが変わります。
普請の見え方は、城の種類によって変わります。
特に初心者が意識したいのは、山城・平山城・平城の違いです。
| 城の種類 | 普請の見え方 |
|---|---|
| 山城 | 山を削る、尾根を切る、曲輪を造成する、堀切や竪堀を掘る |
| 平山城 | 高低差を活かしながら、石垣・堀・曲輪を整える |
| 平城 | 平地に水堀・石垣・土塁・城下町との区画をつくる |
山城は、地形を加工した跡を見る
山城では、自然の山や尾根を利用します。
ただし、自然地形をそのまま使っただけではありません。
山を削り、尾根を断ち切り、平らな曲輪をつくり、斜面を急にして、守りやすい形に整えています。
山城で普請を見るときは、
- 曲輪がどのように造成されているか
- 尾根に堀切があるか
- 斜面が切岸になっているか
- 竪堀が斜面を下っているか
に注目するとよいです。
とくに山城では、山や尾根の地形を活かしながら、曲輪・堀切・竪堀・土塁などを築くことが見どころになります。
山城の基本的な見方については、こちらの記事で詳しく整理しています。
平山城は、高低差と石垣を見る
平山城は、山や丘の高低差と、周囲の平地を組み合わせた城です。
高い場所に本丸や主郭を置き、低い場所に二の丸・三の丸や城下町を広げることがあります。
平山城では、自然の高低差を活かしつつ、石垣や堀でさらに守りを固める普請が見どころです。
平山城では、丘や台地などの高まりを利用しながら、堀・土塁・石垣などを組み合わせて守りを固めることがあります。
平山城の基本的な見方については、こちらの記事で整理しています。
平城は、堀や区画を見る
平城は、平地に築かれた城です。
山の高低差を利用しにくい分、堀や石垣、土塁、城下町との区画が重要になります。
平城を見るときは、
- 堀がどこを囲んでいるか
- 石垣がどこに築かれているか
- 本丸・二の丸・三の丸がどう分かれているか
- 城下町と城がどう区切られているか
に注目すると、普請の意図が見えてきます。

平城では、山の高低差に頼りにくいぶん、堀・水堀・土塁・石垣などの普請が守りの大きなポイントになります。
平城の基本的な見方については、こちらの記事で整理しています。
城跡で普請の跡を見るときのポイント
城跡では、堀・土塁・曲輪・石垣・斜面・入口まわりを見ると普請の跡を感じやすくなります。
「ここは掘ったのか」「ここは盛ったのか」「ここは削ったのか」と考えるのがポイントです。
普請を知ると、建物がない城跡でも見どころが増えます。
実際に城跡を歩くときは、次のポイントを見ると普請の跡を感じやすくなります。
| 順番 | 見るポイント | 意識すること |
|---|---|---|
| 1 | 堀を見る | どこを掘って敵を止めたのか |
| 2 | 土塁を見る | どこに土を盛って守ったのか |
| 3 | 曲輪を見る | どこを平らに整えたのか |
| 4 | 石垣を見る | どこに石を積んで守りを固めたのか |
| 5 | 斜面を見る | どこを削って登りにくくしたのか |
| 6 | 入口まわりを見る | 道や段差で敵をどう進みにくくしたのか |
最初から専門的に見る必要はありません。
まずは、城跡を歩きながら、
- この堀はどれくらい深いのか
- この土塁はどの方向を守っているのか
- この曲輪はどうやって平らにしたのか
- この石垣はどこを支えているのか
- この斜面は自然なのか、削ったものなのか
- この入口はなぜ曲がっているのか
を考えてみてください。
普請を意識すると、城跡の地形が「ただの坂」や「ただの広場」ではなく、城を守るために整えられた場所として見えてきます。
お城の建物が残っていなくても、普請の跡を探すことで、城づくりの工夫を感じることができます。

まとめ:普請がわかると、城の土台が見えてくる
普請とは、お城づくりにおける土木工事のことです。
堀を掘る。
土塁を築く。
曲輪を造成する。
石垣を築く。
山を削る。
斜面を整える。
こうした作業によって、城の守りや土台がつくられていきました。
縄張が「城をどう守るかを考える設計」だとすれば、普請は「その設計を実際の地形や構造として形にする工事」です。
そして作事は、門や櫓、御殿のような建物を建てる工事です。
普請を知ると、城めぐりで見る場所が変わります。
- なぜここに堀があるのか
- なぜここに土塁が残っているのか
- なぜこの曲輪は平らなのか
- なぜこの石垣は高く積まれているのか
- なぜこの斜面は急なのか
そうしたことを考えながら歩くと、城跡がぐっと面白くなります。
天守や門のような建物だけでなく、地形や土木の工夫を見ること。
それが、普請を知ることで広がる城めぐりの楽しみです。
まずは難しく考えすぎず、城跡を歩くときに、
「ここは掘ったのか、盛ったのか、削ったのか」
と考えてみてください。
普請がわかると、お城の土台が少しずつ見えてきます。
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